I.携帯電話向け放送サービス事業に関する現在の状況
携帯電話会社におけるサービスは、 個々の携帯ユーザーへの双方向通信を基本としており、 音声に加えてデータがサービスの中心となってもこの基本は変わっていない。 しかしながら、 映画など、 データ量の大きい内容を個別ユーザー向けに双方向通信にてカバーすることは、 携帯電話ユーザーにとっては高い料金を払うことになり、 携帯電話会社にとっても携帯電話ユーザーに高い料金を負担してもらっても採算が取れない。 これはスーパー第3世代(3.5世代)や第4世代においても変わらない。
この為、 映画・音楽番組などは同時送信を利用することが望ましい。 この結果、携帯電話ユーザーは低価格でサービスが受けられ、 携帯電話会社は貴重な周波数帯域をより有効に利用出来、 日本における周波数資源の節約が可能となる。
これらのメリットを考えると、 今後携帯電話会社がその提供サービスの中の重要な部分として放送サービスを加えることは自然の成り行きと言える。
携帯電話向けの放送サービスとしては、 既に実行されているもの、 近い将来実行が予定されているもの、 今後の可能性として検討されているもの、 今後の可能性として考えられるものなどがある。
既に実行されているもの
1.アナログTV受信
TV塔よりTV電波を利用して番組を放送し、携帯電話に組み込んだTVチューナーで受信して携帯の画面に表示する。番組はアナログTVと同じ内容で、受信状態が安定しない弱点がある。
2.第2世代を利用した携帯電話会社による放送サービス
第2世代の技術により、 携帯電話事業者に対して割り当てられた周波数帯を、 双方向通信用周波数と同時送信用周波数とに分け、 同時送信用の周波数を利用して放送する。 携帯電話の電波を利用して、 携帯電話のアンテナで受信して、 携帯電話の画面に表示する。 TVチューナーは不要。 基地局ごとに異なる同時送信用の周波数を利用して送信される。(参考:セルブロードキャスティング)(参考:携帯電話事業者における同時送信に関する周波数利用方法(GSMなどのTDMAにおける同時送信とCDMAにおける同時送信)、
近い将来実行が予定されているもの
1.デジタルテレビ、ワンセグ(参考:デジタルTV、ワンセグと携帯電話会社によるTV番組放送比較)
TV塔よりTV電波を利用してTV番組を放送し、 携帯電話に組み込んだTVチューナーで受信して携帯電話の画面に表示する。 放送される番組はデジタルTVと同じ内容で、 アナログTVに比べて受信状態が安定する。
2.携帯電話会社による放送サービス
スーパー第3世代を利用して、 携帯電話事業者へ割り当てられた周波数帯を、 双方向通信用周波数と同時送信用周波数とに分け、各基地局共通の一つの周波数で同時送信を行う。(参考:無線におけるマルチキャストと放送)(参考:クリッピングキャスト)(参考:周波数帯と周波数)(参考:コントロールチャンネルによる一斉同報)
各基地局共通の一つの周波数を利用する場合に、 同じ周波数内のスロットを分割することは技術的には可能で、 双方向通信に使用すると同時に、 同時送信に使用することが出来る。 しかしながら、 映画・音楽番組などの大量のデータ送信には多数の周波数が必要なことを考えると、 同時送信に使用する周波数は特定の帯域に設定され、 同時送信のみに使用される可能性が高い。
今後の可能性として検討されているもの
1.携帯電話会社による放送サービス
スーパー第3世代を利用した携帯電話事業者による放送サービスについては、 技術検討が終わり実行準備に入っているもの。 技術検討中で今後実行される可能性の高いものがある。
携帯電話事業者が、自社に割り当てられた帯域を、 双方向通信用周波数と同時送信用周波数とに分け、 各基地局共通の一つの周波数で一斉同報を行う。
2.衛星を利用したモバイル放送
衛星を利用したモバイル放送で専用の受信機を利用するサービスは開始されているが、 衛星から放送された番組を携帯電話用受信機で受信して、 携帯電話の画面に表示するものは、 今後の可能性とされている。
3.CDMA携帯電話への放送サービス事業者による送信
CDMA携帯電話放送事業者として周波数割当を受け、 CDMA携帯電話への送信を行う。
今後の可能性として考えられるもの
1.固定無線により提供されるIP携帯電話への放送サービス
今後全国に拡大されることが予想される無線LAN(ホットスポット)を利用するもの。 ホットスポットは事業者が多数あり、 受信可能地域と受信不可能地域があり、 どこでも受信出来る状況には時間がかかると思われる。 この結果、高速で確実に電波を受信するためにはホットスポットを利用し、 ホットスポットが無い地域では、 携帯電話向け同時送信などの他のサービスで受信する。
2.IP携帯電話の全国展開より携帯電話事業者へ
IP携帯電話は特定スポットにてサービスを受けるものであるが、過去にPHSがそうであったようにスポット展開の進展と共にハンドオーバーが可能な携帯電話に変わっていくことが考えられる。このころから無線LAN事業者は携帯電話事業者になる。
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